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David Sylvian Discography

1982

Bamboo Houses / Bamboo Music : David Sylvian And Riuichi Sakamoto

  1. Bamboo Houses
  1. Bamboo Music

David Sylvian    keyboards, keyboard programming, vocals
Riuichi Sakamoto    keyboards, keyboard programming, mc4, marimba, vocals
Steve Jansen    percussion, electronic percussion, keyboards

坂本龍一とデヴィッド・シルヴィアンによるコラボレーション・シングル。
JAPANの解散はショックだった。 それだけに本作品がリリースされた時、JAPAN の楽曲に肌触りが似ていることを、非常に好意的に受け止めたことを今でも覚えている。
今冷静に聴き直してみると、ミック・カーンのベースが無いことで JAPAN の楽曲と決定的な差があるのだが、Prophet5の歪みきった音とデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルの絡みは、ひたすらスリリングである。
(追加:2016年11月25日)

 

Le Pollen : Pierre Baroch

  1. L'Autre Rive
  2. Pépé
  3. Sans Parler D'Amour
  4. Perdu
  5. La Lettre
  1. Le Pollen (à Jean Cormier)
  2. Parenthése
  3. Les Uns Et Les Autres
  4. Demain 

REMERCIEMENT SPECIAL A
David Sylvian, Maria DAVID et tous ceux qui disent "demain"en langues étrangéres dan la chanson de "DEMAI

フランス人のピエール・バルーの日本制作アルバム。
ボサノバ風のメロディやヴォーカルは個人的には好みではないのだが、凄く複雑だけどそんな風には聴かせず、聴き流すことさえ許容してしまうバックの演奏とのマッチングが醸し出す不思議な雰囲気は魅力的である。 本企画が成立した背景はよく判らないが、徒に迎合することなく渡り合ったところが良かったのではないかと思う。
デヴィッド・シルヴィアンは、参加ミュージシャンの喋りがサンプリングされている ” Le Pollen (à Jean Cormier) ” にノン・クレジットながらその声が確認できる他、” Demain ” にも参加しているのだが、何れも目立つものではない。
(追加:2019年1月25日)

 

Immigrants : Sandii and the Sunsetz

  1. Dreams Of Immigrants
  2. Open Sesame
  3. Living On The Front Line [ co-writes ]
      David Sylvian : vo / synth
  4. The Mirrors Of Eyes
  5. You Get What You Need
  1. Jinjirogeh ~ The Chunk O'Funk
  2. Perfect Strangers
  3. Illusion
  4. Wanted
  5. Where The Fire Still Burns [ co-writes ]
      David Sylvian : vo

久保田麻琴が結成した Sandii and the Sunsetz 名義のファースト・アルバム。
本アルバムがリリースされた1982年に、Sandii and the Sunsetz は JAPAN のツアーのオープニングで演奏しており、本作品へのデヴィッド・シルヴィアンの参加に繋がったものと思われる。
海外ミュージシャンが東洋をテーマにした場合、東洋全体がごっちゃになったような作品になってしまうことはままある。 勿論それは東洋で生活する者だからこそ分かる話であって、私がヨーロッパの文化を地域毎に把握するなどということが全くできていないのと同じである。  Sandii and the Sunsetz のあざとい所は、非東洋人がごっちゃに捉えてしまった東洋のイメージを東洋人自らが再現しているところである。 それに魅力を感じる人もいれば、魅力を感じない人もいるわけで、私は後者である。
シルヴィアンが女性ヴォーカルと絡む、というパターンは必ずしも多くなく、本作品の魅力はそこにある。
(追加:2018年1月25日)

 

愛がなくちゃね。 : 矢野顕子

  1. 愛がなくちゃね
  2. 悲しくてやりきれない
  3. What's Got In Your Eyes?
  4. おいしい生活
  5. みちでバッタリ
  1. 女たちよ男たちよ
  2. あいするひとよ
  3. Sleep On My Baby
  4. Another Wedding Song
  5. とんなときも どんなときも どんなときも
  6. Good Night    [ vocals : akko and david sylvian ]

簡素なジャケットで1800円でリリースされたLPと、別売された1000円のブックレット。
と言われても、音楽がタダで聴けないとフラストレーションが溜まってしまう世代には何を言っているのか判らないかもしれないが、本作品のオリジナルは、そんな形態でリリースされた。
1980年代初期の矢野顕子は神がかっていた。 勿論それ以前もそれ以降も唯一無二の音楽を展開してるのだが、この時期の矢野顕子は、私のような彼女のファン以外にも「聴かなければいけない」という強制力も持たせるほどのインパクトがあった。
JAPAN のメンバーが大々的にフィーチャーされた本作品も聴きどころが多いのだが、坂本龍一のピアノをバックにシルヴィアンとデュエットする ” Good Night ” は、チャーミングとしか言いようがない楽曲である。
(追加:2016年11月25日)

 

1983

Music From The Original Motion Picture Soundtrack ・ Merry Christmas, Mr Lawrence

  1. Merry Christmas, Mr Lawrence
  2. Batavia
  3. Germination
  4. A Hearty Breakfast
  5. Before The War
  6. The Seed And The Sower
  7. A Brief Encounter
  8. Ride Ride Ride ( Celliers' Brother's Song )
  9. The Fight
  1. Father Christmas
  2. Dismissed!
  3. Assembly
  4. Beyond Reason
  5. Sowing The Seed
  6. 23rd Psalm
  7. Last Regrets
  8. Ride Ride Ride ( Reprise )
  9. The Seed
  10. Forbidden Colours 

Vocal On ' Forbidden Colours ' By David Sylvian

大島渚監督による映画 『 戦場のメリークリスマス 』 のサウンドトラックで、出演していた坂本龍一が音楽を担当している。
などということは、今更説明するまでも無いことなのだろうが、デヴィッド・ボウイやビートたけしも出演した豪華な布陣による映画は、今になっても画期的である。
表題曲と正しくサントラ然とした楽曲の他、ラストに表題曲にシルヴィアンによるヴォーカルを被せた ” Forbidden Colours ” が収録されている。 企画としては後乗せ感が強いのだが、楽曲としての完成度は異常に高い。 発表当時、映画に関係のないシルヴィアンが何故、と思ったことを記憶しているが、実際にその楽曲を聴いた時の腰を抜かすほどの圧倒感は、今聴き直しても思い出すことができる。
(追加:2016年11月25日)

 

1984

Brilliant Trees : David Sylvian

  1. Pulling Punches
  2. The Ink In The Well
  3. Nostalgia
  4. Red Guitar
  1. Weathered Wall
  2. Backwaters
  3. Brilliant Trees

David Sylvain    Vocals Guitar Treated Piano Synthesiser Percussion Tape
Holger Czukay    Dictaphone Guitar French Horn Voice
Steve Jansen    Drums Percussion Synthesiser
Richard Barbieri    Synthesiser A1 B1
Ryuichi Sakamoto    Piano Synthesiser A4 B1 B3
Steve Nye    Piano Synthesiser A3 A4
Jon Hassell Trumpet B1 B3
Kenny Wheeler    Flugelhorn A2 A3
Mark Isham    Trumpet A4
Phil Palmer    Guitar A2 A4
Ronny Drayton    Guitar A1 A4
Wayne Braithwaite    Bass A1 A4
Danny Thompson    Double Bass A2

JAPAN 解散後のファースト・ソロ・アルバム。 セールス面でも絶頂期に解散した後だけに、本作品に対する期待はかなり高かったと記憶している。 そして実際その期待に応えるだけの素晴らしい内容となっている。
後の作品に見られるような極度のインスト指向はなく、力強いヴォーカルと楽器群が見事に調和しており、バランスの良い傑作となっている。
個人的にはこの路線で突き進んで欲しかったのだが、前述した通りこの後シルヴィアンはインスト指向を強めていく。 本作品におけるホルガー・チューカイやジョン・ハッセルとの共演での充実感が、その切っ掛けの一つになっていると思うのだが、そういう意味ではなかなか罪深い作品だと思う。
(追加:2006年3月25日)

 

1985

Alchemy - An Index Of Possibilities : David Sylvian

  1. Words With The Shaman
    Part 1 Ancient Evening
    Part 2 Incantation
    Part 3 Awakening ( Songs From THE TREE TOPS )
      David Sylvian : Keyboards, Guitars, Tapes
      Steve Jansen : Drums, Percussion, Additional Keyboards
      Jon Hassell : Trumpet
      Holger Czukay : Radio, Dictaphone
      Percy Jones : Fretless Bass
  2. Preparations For A Journey
  3. Steel Cathedrals
      David Sylvian : Keyboards, Tapes, Digital Percussion
      Ryuichi Sakamoto : Piano, Strings
      Steve Jansen : Percussion
      Kenny Wheeler : Flugelhorn
      Robert Fripp : Guitar, Frippertronics
      Holger Czukay : Dictaphone
      Masami Tsuchiya : Guitar 'abstruction'

映像作品のサントラという位置づけから制作されたシルヴィアンのインスト・ソロ・アルバム。
インストではあるが、アンビエント風ではない。 シルヴィアンが一人で制作した ” Preparations For A Journey ” 以外の2曲も長尺ではあるが起伏はそれなり以上にある。 後に発表されるシルヴィアンのインスト作品とは位置づけが異なり、前作 『 Brilliant Trees 』 の延長上線のヴォーカル・レス作品と位置づけた方が良いのではないかと思う。
個人的にはフリップとシルヴィアンの初共演ということだけでお腹一杯なところもあるのだが、シルヴィアンによるインスト習作として捉えてしまうには、ちょっと勿体無い気がする。
(追加:2017年5月10日)

 

A Secret Wish : Propaganda

  1. Dream Within A Dream
  2. The Murder Of Love
  3. Jewel
  4. Duel
  5. Frozen Faces
  6. P-Machinery
  7. Sorry For Laughing
  8. Dr. Mabuse
  9. The Chase
  10. Strength To Dream

Propaganda acknowledge the participation, with some voice and instruments , of : ANDREW RICHARDS, Steve Howe, David Sylvian, Glenn Gregory, Trevor Horn, Ian Mosely, Jonathan Sorrell, A.Thein, Stuart Coppland and Allen L.Kirkendale, S.J.Lipson.

ZTT からリリースされた、プロパガンダのファースト・アルバム。
サンプリング・キーボードの下世話さを全面に出したアート・オブ・ノイズも、ロックそのものの下世話さを全面に出したフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドも、ZTT の過剰なまでの企画が成功していると思うが、同じ ZTT からのリリースながら本作品は正統派シンセサイザー・ミュージックで埋められている。
80年代、特にデジタル化された後のシンセサイザー・ミュージックは、一周回ってアリなものと、古臭くなったまま終了したものの2つに大別されるが、本作品はその魅力を時代を問わず発信し続けており、その理由はメロディの秀逸さとシンセサイザーの音色の上品さにあると思っている。
YMO人脈が関与していない作品への参加は、この時期のデヴィッド・シルヴィアンには珍しいが、残念ながらその存在感は希薄である。
(追加:2019年1月25日)

 

1986

Gone To Earth : David Sylvian

  1. Taking The Veil
  2. Laughter And Forgetting
  3. Before The Bullfight
  4. Gone To Earth
  5. Wave
  6. River Man
  7. Silver Moon
  1. The Healing Place
  2. Answered Prayers
  3. Where The Railroad Meets The Sea
  4. The Wooden Cross
  5. Silver Moon Over Sleeping Steeples
  6. Camp Fire : Coyote Country
  7. A Bird Of Prey Vanishes Into A Bright Blue Cloudless Sky
  8. Home
  9. Sunlight Seen Through Towering Trees
  10. Upon This Earth

デヴィッド・シルヴィアンの2枚組大作ソロ・アルバム。
とにかくリリースされた時は、フリップとシルヴィアンの共演に興奮した。 ” Steel Cathedrals ” での共演がクレジット通り後からレコーディングしました感が強かったのに比べ、本作での共演はガッチリと四つに組んでいるのが明らかでだからである。。 渋谷のビルの2Fの CISCO で先行して販売された ” Taking The Veil ” の 12inch を購入、持ち帰って聴いた時、シルヴィアンのヴォーカル・パートの後のギター・ソロには心底痺れた。
ただ、これはフリップとシルヴィアンの絡みがあったからでのことは否めない。 アルバム全体としては、ヴォーカル楽曲とインスト楽曲が明確にわかれ過ぎていて統一感がなく、冗長な作品であることは否めない。
勿論これは、傑作  『 Brilliant Trees 』 から、 大傑作 『 Secrets of the Beehive 』 に至るまでに必要な過程であったことはを今にしてみれば明らかなのだが、残念ながら当時はフリップ参加曲を中心に聴いていた(ゴメン)。
(追加:2017年5月10日)

 

Dreams Of Reason Produce Monsters : Mick Karn

  1. First Impression
  2. Language Of Ritual
  3. Buoy 
  4. Land 
  1. The Three Fates
  2. When Love Walks In 
  3. Dreams Of Reason
  4. Answer

Davis Sylvian : Vocals (3,6), Additional Keyboards (4)

JAPAN 解散後、ピーター・マーフィーとのダリズ・カーを経てミック・カーンが発表したセカンド・ソロ・アルバム。 デヴィッド・シルヴィアンは、キーボードで1曲、ヴォーカルで2曲参加している。
シルヴィアンのキーボーディストとしての記名性は高くないが、ヴォーカリストとしてのそれは高く、特にミック・カーンのブヨヨ~ンとしたベースと絡むとやはり興奮してしまう。
特にシルヴィアンの参加が参加していないラストの曲などは重厚過ぎる所があるのだが、シルヴィアンの参加曲があることで作品全体が聴きやすくなっている。 この辺り、ミック・カーンにしてみれば面白くないところなんだろうけど。
(追加:2008年5月10日)

 

ララララ ラブ : Sandii and the Sunsetz

  1. Battery
  2. The Act Of Love
  3. Banzai Baby
  4. East Meets West
  5. This Is Not Enough [ co-writes ]
  1. Aishi Aishi
  2. Fascination
  3. Undressing Slowly
  4. The Serious Game

Davis Sylvian … Keyboards, Vocals ( on A-5 )

前作から4年近くのインターバルを経て発表された、Sandii and the Sunsetz の作品。
とは言え基本路線は前作と同じで、西洋人が抱く東洋に対する印象を東洋人が再現した作品となっている。 このミスマッチ感に面白さを感じることができるかできないかが、本作品にのめり込むことができるかどうかの違いなると思う。
デヴィッド・シルヴィアンは前作と同じくキーボードとヴォーカルでの参加となっている。 キーボードの演奏に記名性はないが、ヴォーカルの存在感はやはり圧倒的である。
(追加:2018年1月25日)

 

Hope in a Darkened Heart : Virginia Astley

  1. Some Small Hope 
  2. A Father
  3. So Like Drian
  4. I'm Sorry
  5. Tree Top Club
  6. Charm
  7. Love's A Lonely Place To Be
  8. A Summer Long Since Passed
  9. Darkness Has Reached Its End

Vocals on " Some Small Hope " by David Sylvian

坂本龍一がプロデュースした、バージニア・アストレイの作品。
シャレオツ系の作品として、日本でも相当ヒットしたと記憶しているが、今聴き直してみると、シンプルな演奏をバックにしたヴォーカル・アルバムであることがわかる。
デヴィッド・シルヴィアンは1曲目の ” Some Small Hope ” に参加しているのだが、単なるコーラスではなくソロ・ヴォーカル・パートもしっかりと与えられている。 前述したようなシンプルな演奏にシルヴィアンのヴォーカルは見事にマッチしており、作曲から関与している坂本龍一がシルヴィアンの参加を前提に制作した楽曲ではないかと妄想したくなる。
(追加:2019年1月25日)

 

1987

Secrets of the Beehive : David Sylvian

  1. September
      D.Sylvian : piano, vocal
  2. The Boy with the Gun
      D.Sylvian : acoustic guitar, organ, synths., vocal
  3. Maria
      D.Sylvian : synths., tapes, vocal
  4. Orpheus
      D.Sylvian : acoustic guitar, synths., vocal
  5. The Devil's Own
      D.Sylvian : treated piano, synths., tapes, vocal
  6. When Poets Dreamed of Angels
      D.Sylvian : acoustic guitar, vocal
  7. Mother and Child
      D.Sylvian : vocal
  8. Let the Happiness In
      D.Sylvian : synths., organ, vocal
  9. Waterfront
      D.Sylvian : vocal
  10. Forbidden Colours
      D.Sylvian : vocal, synths.

1987年に発表された、デヴィッド・シルヴィアンの傑作アルバム。
JAPAN解散後のファースト・アルバムや、フリップを含めた豪華ゲストが参加した 『 Gone To Earth 』 に比べると話題性に乏しい作品ではあったが、ヴォーカル・パートとインスト・パートの配分も適切で、散漫さや冗長性が全くない素晴らしい作品である。
” Orpheus ” や ” Let the Happiness In ” といった名曲や、お約束とはいえやはり聴き惚れてしまう ” Forbidden Colours ” 等、派手さこそないものの1曲1曲のクオリティーも高く、就寝前に聴く作品として、今でも愛用している。
(追加:2003年6月25日)

 

Life In Mirrors : 土屋昌巳

  1. Stay In Heaven
  2. Don't Stop Loving
  3. Khaos Town ( 日射しの罪人 )
  4. 水の中のホテル ( Hotel Atlantis )
  5. Perfect Days
      David Sylvian / Electric Guitar, Piano
  6. Daydreams Of You
  7. 一日千夜 ( One Day A Thousand Night )
  8. Lapis
  9. Because
  10. Planet Mirrors

土屋昌巳の 『 Rice Music 』 に続くセカンド・アルバム。
一風堂のBOX、『 Magic Vox : Ippu-Do Era 1979-1984 』 に付属していた土屋昌巳のインタビューを読むと、ジャパンのメンバーやスティーヴ・ナイとやりたくて 『 Rice Music 』 を制作した、との趣旨の発言があるのだが、同作にデヴィッド・シルヴィアンは参加していない。 その後の一風堂の 『 Night Mirage 』 と、ライヴ、そしてそのライヴを収録した 『 live and zen 』 にも、ジャパンの他のメンバーは参加しているがシルヴィアンは参加していない。
つまるところジャパンのファイナル・ツアーに参加して以来の、シルヴィアンと土屋昌巳の共演が本作でなされていることになる。
Perfect Days ” でのエレクトリック・ギターのミニマル・フレーズと単音ピアノがシルヴィアンによる演奏だと思うのだが、どうせならヴォーカルも披露してほしかった。 そして更なる我儘を言えば、ミック・カーンがベースをヴィヴィと言わせ、土屋昌巳のギター・ソロとアンディ・マッケィのサックス・ソロが爆発する ” 一日千夜 ( One Day A Thousand Night ) ” に参加してくれていたら、もっと嬉しかった。
(追加:2019年5月10日)

 

1988

Live In London '88 : David Sylvian

  1. Ancient Evening
  2. Incantation
  3. Orpheus
  4. Before The Bullfight
  5. Taking The Veil
  6. Weathered Wall
  7. The Boy With The Gun
  8. Riverman
  9. The Grand Parade ( Mark Isham From The Album Castalia )
  10. Band Introduction
  11. The Ink In The Well
  12. Nostalgia
  1. Forbidden Colours > Backwaters
  2. Brilliant Trees
  3. Steel Cathedrals
  4. Let The Happiness In
  5. Gone To Earth
  6. Awakening
    Bonus Track : David Sylvian with Mark Isham, David Torn and Richard Barbieri
    Live on D.O.C., Hosted by Renzo Arbore, Italy 1988, RAI-TV
  7. Words With The Shaman > Orpheus

リリースは2021年

David Sylvian    Keyboards, guitar and vocals
Steve Jansen    Drumsn and percussion
Richard Barbieri    Keyboards
David Torn    Lead guitar
Lan Maidman    Bass and percussion
Robby Aceto    Guitars and keyboards
Mark Isham    Flügelhorn, trumpet, soprano sax and keyboard

BBC で放送されたデヴィッド・シルヴィアンのライヴ音源の長尺版で、権利関係の怪しい作品である。
『 Brilliant Trees 』 から 『 Secrets of the Beehive 』 まで、ソロ・ミュージシャンとしてもシルヴィアンの楽曲が満遍なく押さえてあるのだが、その演奏に開放感は全く感じられない。 ソロ・キャリアを俯瞰するようなツアーは後に先にもこの時期だけのはずだが、シルヴィアンとしては完璧にやりこなすことを最優先したのだと思う。 一流ミュージシャンによるシルヴィアンの意図通りの演奏は彼が望む所に他ならないのだが、演奏の完璧性が高まれば高まる程、閉塞感が感じられるようになっている。
この後シルヴィアンは、ホルガー・シューカイとの音響追求、そしてインプロ・ベースでのレイン・トゥリー・クロウのレコーディングを行うのだが、この時期のライヴ活動が原因で活動が極端に振れたのかもしれない。
(追加:2022年4月25日)

 

Plight & Premonition : David Sylvian - Holger Czukay

  1. Plight ( the spiralling of winter ghosts )
  2. Premonition ( giant empty iron vessel )

Holger Czukay : Radio, Sampled Piano, Orchestral and Environmental treatments
David Sylvian : Piano, Prepared Piano, Harmonium, Vibes, Synthesizers, Guitar
Karl Lippergaus : Radio tuning
Jaki Liebezeit : Infra-sound

傑作 『 Secrets of the Beehive 』 に次いでリリースされた、ホルガー・シューカイとのデュオ作品。 この後シルヴィアンが積極的にアンビエントな作品をリリースしていくきっかけとなった。
ソロ第一弾 『 Brilliant Trees 』 で共演していたとはいえ、インターネットで情報が溢れていたわけでもない当時、雑誌でシューカイとの作品がリリースされると知った時、唐突感を感じた。 そしてその唐突感は、アンビエントな本作品を聴いた時に混乱に陥ったのをよく覚えている。 シューカイの作品に、シルヴィアンの音源がサンプリングされただけではないかと誤解したりもした。
聴きやすいアンビエント、などと言うと安易な表現になってしまうが、曲の長さも適度で、アンビエントの入門作品としても適している。
(追加:2013年2月10日)

 

1989

Flux And Mutability : David Sylvian & Holger Czukay

  1. Flux ( A Big, Bright, Colourful World )
      David Sylvian     guitar, keyboards
      Holger Czukay    guitar, bass, radio, dictaphone, voice
      Michael Karoli    guitars
      Jaki Liebezeit    percussion
      Michi    voice
      mixed by Sylvian / Czukay / Tinner
  2. Mutability ( A New Beginning Is In The Offing )
      David Sylvian     guitar, keyboards
      Jaki Liebezeit    african flute
      Michi    voice
      mixed by Sylvian / Czukay

composed and produced by Sylvian / Czukay

ホルガー・シューカイとのデュオ作品の2枚目。
数々の楽器、シューカイ得意のラジオ音源の積み重ねによってなりたっているものの、いかにもサウンド・コラージュです的な突拍子もない使われ方をしていないところにセンスの良さを感じる。 しかしながら、やはりドローンを中心とした楽曲は単調で、面白いか面白くないかと問われれば、後者としか答えようのない作品である。
シルヴィアンが歌ものではなくインスト曲に走ると、彼の音楽コンプレックスがマイナスの形で表現されたものとして非難する意見が多いが、シルヴィアン自身はそこまで考えていないように思える。 フリップがサウンドスケイプを好きなように、シルヴィアンも単調なインストが好きなだけなのだと思う。
本作品でシューカイとのコラボレーションに一応の見切りをつけ、” Pop Song” の発表、Japan再結成 ( Rain Tree Crow ) とインスト指向こそ残るが歌もののリリースが続いたことは、個人的にはやはり嬉しかった。
(追加:2003年2月25日)

 

Pop Song : David Sylvian

  1. Pop Song
      David Sylvian : guitars, synthesisers, piano, electronic percussion, keyboards programming
      John Taylor : piano    Steve Jansen : drums     Stuart Bruce : computer programming
  2. A Brief Conversation Ending In Divorce
      David Sylvian : guitars, synthesisers, keyboards programming
      John Taylor : piano    Stuart Bruce : computer programming
  3. The Stigma Of Childhood ( Kin )

シルヴィアンのシングル。
『 Secrets of the Beehive 』 リリース後のシルヴィアンの活動は地味だった。 ホールガー・チューカイとのコラボが2作品あったものの、ポジティヴな話題で盛り上がることなく、黙殺に近い扱いを受けていた。
それだけに、メロディありのヴォーカル・ナンバーであるタイトル曲は嬉しかった。
勿論、「 Pop Song 」 などという表現から喚起されるイメージとは大きく異なり、売れ線の欠片も狙っていない楽曲ではあるが、実験要素の強いインストものより、ヴォーカル・ナンバーの方が遙かに好きだ。
タイトル曲以外は相変わらずのインスト路線で、この後一体どっちの方向にシルヴィアンが向かうか図りかねるところがあった。 しかしそんな不安をよそに、元JAPANのメンバーとともに、ヴォーカル路線とインスト路線を見事に融合させた傑作 『 Rain Tree Crow 』 をリリースしてこれたことが更に嬉しかった。
(追加:2005年6月25日)

 

1991

Heartbeat : Ryuichi Sakamoto

  1. Heartbeat
  2. Rap The World
  3. Triste
  4. Lulu
  5. High Tide
  6. Song Lines
  7. Nuages
  8. Sayonara
  9. Borom Gal
  10. Epilogue
  11. Heartbeat ( Tainai Kaiki II ) - Returning To The Womb
    [ Vocals : David Sylvian / Ingrid Chavez ]
  12. Cloud #9  [ Vocals : David Sylvian / Ingrid Chavez ]

ハウスのリズムを取り入れた楽曲が多く収録されている、坂本龍一のソロ・アルバム。
サントラでもなく、テクノでも(今更)ない唄モノ作品なのだが、個人的にはあまり面白みが感じられない作品である。
その一方で、輸入盤にのみ収録されているデヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルをとる2曲は、アルバム全体のコンセプトからは大きく外れているのだが、特に ” Heartbeat ( Tainai Kaiki II ) - Returning To The Womb ” が突出した素晴らしい内容となっている。
多分アルバム1枚分を丸々共同作業してしまうと発生しないケミストリーが、2,3曲以内という限定された曲数(時間)の中では発生するギリギリの関係が、シルヴィアンと坂本龍一の中にあるのだと思う。
(追加:2016年11月25日)

 

1992

Sahara Blues : Hector Zazou

  1. I'll Strangle You
  2. First Evening  [ David Sylvian : guitars ]
  3. Ophélie
  4. Lines
  5. Youth  [ David Sylvian : guitars ]
  6. Hapolot Kenym
  7. Hunger
  8. Sahara Blue ( Brussels )
  9. Amdyaz
  10. Black Stream
  11. Harar et les Gallas
  12. Lettre au Directeur des Messageries Maritimes  [ Final text ( D.Sylvian )]

Presented By :
Scott McCaughey, Peter Buck, Bill Rieflin, John Ramberg, Jeff Tweedy, John Stirratt, Glenn Kotche, Mike Jorgensen, Tucker Jackson, John Moen, Jim Talstra, Eric Lovre, Colin Meloy, John Wesley Harding, Kelly Hogan, Sean Nelson, Ken Stringfellow

エクトル・ザズーのソロ作品。
全体にとても上品で丁寧な音作りがされている作品である。 この時代、デジタル・シンセサイザーのギラついた音触りの作品が幅を利かせていただけに、こうした作品を制作することは珍しかったと思う。 フィジカル・ディスクのリリース機会が少なくなった今だったら、まず間違いなくリリースされることなく黙殺されていたはずである。
デヴィッド・シルヴィアンは、ほよよ~んとしたギターを中心に参加。 本人名義と Mr.X という変名で演奏していることが Discogs で確認できるのだが、詳細は不明。
(追加:2020年9月25日)

 

1995

Marco Polo : Alesini & Andreoni

  1. Come Morning 
  2. Quinsal, La Citta'del Cielo
  3. Yangchow
  4. The Golden Way 
  5. Sumatra
  6. M. Polo
  7. Il Libro Dellincessante Accordo Con Il Cielo
  8. Maya 
  9. Buchara
  10. Kubilay Khan
  11. Samarca
  12. The Valley Of Pamir

David Sylvian, vocals

シルヴィアンが参加しているプロジェクトの作品。 この後続編も発表されたが、そちらにはシルヴィアンは参加していない。
レコーディングされたのはシルヴィアン&フリップの活動が一区切りついた頃で、シルヴィアンの活動自体も地味だった時期である。 時間的余裕もあったためか曲作りにも参加した上で唄っており、シルヴィアンとしても思い入れが深かったのか、後に発表されたシルヴィアン名義のベスト・アルバム 『 Everything And Nothing 』  にも2曲が収録されている。
シルヴィアンの他にも、ロジャー・イーノ、ハロルド・バッド、デヴィッド・トーンといったミュージシャンがクレジットされており、特に前2人の名前からアンビエント色が濃い作品のようにも思えるが、そのようなこともない。 地味な作品ではあるが、アルバム全体としての味わいは深く、そこにシルヴィアンの貢献度の高さも挙げることができる。
(追加:2014年8月25日)

 

1999

Dead Bees On A Cake : David Sylvian

  1. I Surrender
  2. Dobro #1
  3. Midnight Sun
  4. Thalhiem
  5. God Man
  6. Alphabet Angel
  7. Krishna Blue
  8. The Shining of Things
  9. Cafe Europa
  10. Pollen Path
  11. All of my Mother's Name
  12. Wanderlust
  13. Praise
  14. Darkest Dreaming

デヴィッド・シルヴィアンが 『 Secrets of the Beehive 』 から12振りにリリースしたソロ・アルバム。
その間にホルガー・シューカイとのデュオ、レイン・トゥリー・クロウ、各種セッション、そしてシルヴィアン&フリップとしての活動があったため、12年振りと言われても当時あまりピントこなかった。 良くも悪くもそれらの活動から自己咀嚼したものをアウトプットした要素は殆ど感じられず、『 Secrets of the Beehive 』 の翌年にリリースされた作品と言われても違和感は無い。 勿論これは褒め言葉で、完成度の高い作品となっている。
ただ当時のインタビュー等を読むと、レコーディングには相当の時間がかかっており、この路線でのソロ作品を続けていくことが既に困難になっていることが窺える。 次のソロ・アルバム、『 Blemish 』 での変化はシルヴィアンにとって必然であったのかもしれないが、やはりこの路線からの変化はもったいない。
(追加:2017年5月10日)

 

Approaching Silence : David Sylvian

  1. The Beekeeper's Apprentice
      David Sylvian    guitars, synthesisers, shortwave samples
      Frank Perry    noan bells, bowed gong, finger bells
  2. Epiphany
      David Sylvian    synthesisers, samples
  3. Approaching Silence
      David Sylvian    synthesisers, samples
      Robert Fripp    frippertronics, voice

デヴィッド・シルヴィアンによる2つのインスタレーションで使われた音楽を収録した作品。
” The Beekeeper's Apprentice ” と ” Epiphany ” は、1990年に寺田倉庫内で行われたラッセル・ミルズとのインスタレーションで使われたもの。 特に前者にはキース・ティペットの作品で共演していたフランク・ペリーがパーカッション奏者が参加している。 インスタレーションで使われる音楽という前提のためか、その演奏が控えめなのは残念。
” Approaching Silence ” は、1994年に 東長寺地下の P3 art and environment で行われたロバート・フリップとのインスタレーションで使われたもの。 当時会場で販売されていたカセット・テープはノン・クレジットで、パンフレットにも詳細が記載されていなかったが、本アルバムで明確にクレジットがされている。
(追加:2017年10月10日)

 

Everything And Nothing : David Sylvian

  1. The Scent of Magnolia
  2. Heartbeat ( Tainai Kaiki II )
  3. Blackwater
  4. Albuquerque ( Dobr #6 )
  5. Ride
  6. The Golden Way
  7. Ghosts
  8. Pop Song
  9. Every Colour You Are
  10. Wanderlust
  11. God's Monkey
  12. Let The Happiness In
  13. I Surrender
  14. Thoroughly Lost To Logic
  1. Jean The Birdman
  2. Cover Me With Flowers
  3. The Boy With The Gun
  4. Riverman
  5. Apama and Nimisha ( Dobro #5 )
  6. Midnight Sun
  7. Orpheus
  8. Some Kind Of Fool
  9. Cries and Whispers
  10. Godman
  11. Laughter and Forgetting
  12. Buoy
  13. Weathered Wall
  14. Bamboo Houses
  15. Come Morning
  1. The Scent of Magnolia ( edit )
  2. The Blinding Light of Heaven
  3. The Scent of Magnolia ( Portobello Mix )
  4. Brilliant Trees ( version 2000 )

とても丁寧に創り込まれたデヴィッド・シルヴィアンの編集アルバム。 後の編集盤 『 A Victim Of Stars 1982 - 2012 』 と異なり年代順には編集されていないが、同作以上に統一感があるのは、選曲、曲順の妙に依るものである。
個人的には 『 Brilliant Trees 』 と 『 Secrets of the Beehive 』 からもう少し収録して欲しかったが、この辺りは 『 A Victim Of Stars 1982 - 2012 』 でしっかりとフォローされている。
初出音源、新編集音源もバランスよく含まれており、『 Dead Bees On A Cake 』 のセッション時の音源や、JAPAN の 『 Gentlemen Take Polaroids 』 のセッション時の ” Some Kind Of Fool ”、キース・ティペットが作曲と演奏で参加している1991年の未発表曲 ” Thoroughly Lost To Logic ”、そしてライヴで演奏されながらスタジオ・アルバムから外されていたシルヴィアン&フリップの名曲 ” The Blinding Light of Heaven ” の収録は、それだけのためでも購入意欲をそそるものである。
(追加:2017年10月10日)

 

2001

Zero Landmine : N.M.L. No More Landmine

  1. Zero Landmine 
  2. Zero Landmine - Piano + Vocal version - 
  3. Zero Landmine - Piano + Cello version -
  4. Zero Landmine - Short version - 
  5. Zero Landmine - Piano version -
  6. Zero Landmine - THE TRACK -

坂本龍一が地雷問題を取り上げた作品。 シルヴィアンは作詞とヴォーカルで参加している。
ライナーに記載している通り、シルヴィアンによる歌詞は坂本龍一のリクエストに応えてシンプル且つ優しい内容になっている。
作品としての趣旨からは外れてしまうのかもしれないが、オリジナル曲以上に ” Zero Landmine - Piano + Vocal version - ” での坂本龍一のピアノとのデュオが素晴らしい。
(追加:2015年4月10日)

 

The Attraction To All Things Uncertain : Tweaker

  1. Linoleum ( featuring David Sylvian )
  2. Years From Now
  3. Swamp
  4. Turned
  5. Happy Child
  6. The Drive-bye
  7. Take Me Alive
  8. Susan
  9. Microsize Boy
  10. Full Cup of Coffee
  11. Empty Sheet of Paper
  12. After All
  13. Come Play

元ナイン・インチ・ネイルズのドラマー、クリス・ヴレンナによる作品。
ドラマーとは言っても、人力のドラムの他プログラミング、リミックス等も行っていた人らしいのだが、機材オリエンテッドな楽曲は密室での作業のような閉塞感がある。
本人もその辺りは意識していたのか、複数のゲスト・ヴォーカリストを採用することで閉塞感を打破しようと試みており、その一人としてデヴィッド・シルヴィアンが1曲目に参加している。 その完成度は、シルヴィアンが唄っているからという贔屓目を差し引いても高く、本作品の中でも突出している。 本楽曲は、シルヴィアンのソロでいうと 『 Blemish 』 のリリース前であり、個人的には本楽曲のような路線を続けて欲しかった。
(追加:2019年5月10日)

 

2002

Camphor : David Sylvian

  1. All Of My Mother's Names
  2. Red Earth ( as summertime ends ) 
  3. Answered Prayers
  4. The Song Which Gives The Key To Perfection
  5. New Moon At Red Deer Wallow
  6. Praise ( Pratah Smarami ) 
  7. Wave ( version ) 
  8. Mother And Child
  9. Plight ( the spiralling of winter ghosts ) detail
  10. Upon This Earth
  11. Big Wheels In Shanty Town
  12. The Healing Place
  13. Camphor
  14. A Brief Conversation Ending In Divorce
  1. Plight ( the spiralling of winter ghosts )
  2. Mutability ( a new beginning is in the offing )
  3. Premonition ( giant empty iron vessel ) 

『 Everything And Nothing 』 に続いてリリースされた、インスト曲を中心とした編集アルバム。 個人的には、アンビエントではないインスト曲の方が好みであるということを再確認することができた作品でもある。
『 Everything And Nothing 』 と同じく、これまた非常に丁寧に創り込まれた作品である。 殆どの曲が編集、再リミックスがされており、『 Secrets of the Beehive 』 に収録されていた ” Mother And Child ” のように、オリジナルのヴォーカル曲がインストになっていたりと、曲順の妙とともに新作を聴いているような印象を受ける。
個人的には、ホルガー・チューカイとのコラボレーション楽曲を中途半端に短くして40分弱しか収録していないCD2に、『 Alchemy - An Index Of Possibilities 』 からの楽曲も収録してくれたら更に良かったと思う。
(追加:2017年10月10日)

 

2003

Blemish : David Sylvian

  1. Blemish
  2. The Good Son
  3. The Only Daughter
  4. The Heart Knows Better
  5. She Is Not
  6. Late Night Shopping
  7. How Little We Need To Be Happy
  8. A Fire In The Forest

produced, composed, performed, engineered by david sylvian except tracks 2/5/7 guitars derek bailey, composed by derek bailey and david sylvian. track 8 electronics and arrangement by christian fennesz.

シルヴィアンの4年振りの新作。 
本作には、坂本龍一もスティーヴ・シャンセンもホルガー・チューカイもいない。 今回彼が選んだパートナーは、デレク・ベイリーである。 
シルヴィアン単独の曲は、B級ホラー映画のサントラのようなシンセとヴォーカルによる地味めの曲。 そしてベイリーとの3曲においては、聴き手に歩み寄るところが全くない音楽を展開している。 特に ” The Good Son ” は、二人の絡みはゼロで、たまたま同時に発音しているような曲展開である。 ベイリーはギターで音を出し、シルヴィアンはヴォーカルをつぶやいている。 シルヴィアンの作品の中で、最もアヴァンギャルドなものだと思う。
本アルバムは、極々地味なリリースで雑誌等で特集されることもほとんどなかった。 アルバムの質を考えると仕方なかったのかもしれないが、4年の間にリリースされた3枚の編集盤の方が話題になっていたのは、やはりちょっと悲しい。
(追加:2003年8月25日)

 

To Play The Blemish Sessions : Derek Bailey

  1. Play 1
  2. Play 2
  3. Play 3
  4. Play 4
  5. Play 5
  6. Play 6
  7. Play 7
  8. Play 8

リリースは2006年

performed by Derek Bailey    produced by David Sylvian


『 Blemish 』 を初めて聴いた時に、デヴィッド・シルヴィアンとデレク・ベイリーの間に一緒に作曲するつもりも、インプロヴァイズするつもりも全く無いように思った。 ベイリーはシルヴィアンがどのようにヴォーカルを被せるかなど全く意識することなくただただ演奏し、その音源にシルヴィアンはヴォーカルを被せただけだと。 ただ 『 Blemish 』 はそんな企画もアウトプットも見事に機能しており、これは正にシルヴィアンのミュージシャンとしての力量によるものだとも思った。
本作品はその 『 Blemish 』 のために提供されたベイリーのギター演奏に、シルヴィアンが若干の音響効果を加え、プロデュースしたものである。 無限に存在するであろうベイリーの即興演奏音源の中で、この演奏がどのような位置づけであるか判る程には私はベイリーの音源を聴き込んでいないのだが、そんな私には単独で聴き続けるのはやはり辛い。
(追加:2022年4月25日)

 

World Citizen - i won't be disappointed - : ryuichi sakamoto + david sylvian

  1. World Citizen - i won't be disappointed - ( short version )
  2. World Citizen ( short version )
  3. World Citizen - i won't be disappointed - ( long version )
  4. World Citizen ( long version )
  5. World Citizen ( remix )

David Sylvian : Vocals

坂本龍一とシルヴィアン名義の作品。
本作品を始め、2人名義の作品、あるいは坂本龍一名義の作品にシルヴィアンが参加しているという楽曲は多く、かつそのクオリティはとても高い。 それだけに2人がガチでアルバムを制作したら、完成度の高い作品になったのではないかと常々思っている。 例えば、JAPAN 解散後、あるいは、80年代のソロ活動時にそんな作品が完成していたら、凄いことになっていただろう。 適度な距離をおきながら、たまにコラボレーション作品を制作することでこのクオリティが成し遂げられているのかもしれないが、やはりもったいなく思える。
(追加:2015年4月10日)

 

2005

The Good Son VS The Only Daughter The Blemish Remixes : David Sylvian

  1. The Only Daughter : Remixed By Ryoji Ikeda
  2. Blemish : Remixed By Burnt Friedman
  3. The Heart Knows Better : Remixed By Sweet Billy Pilgrim
  4. A Fire In The Forest : Remixed By Readymade FC
  5. The Good Son : Remixed By Yoshihiro Hanno
  6. Late Night Shopping : Remixed By Burnt Friedman
  7. How Little We Need To Be Happy : Remixed By Tatsuhiko Asano
  8. The Only Daughter : Remixed By Jan Bang And Erik Honore
  9. Blemish : Remixed By Akira Rabelais

『 Blemish 』 のリミックス・アルバム。
個人的に 『 Blemish 』 は難解ではあったが、その殺伐とした音作りは嫌いではなかった。 更にデレク・ベイリーが参加している曲では、参加しているベイリーのギターにコラボ感が全く無いという、画期的なものであった。
本作品は、そんな 『 Blemish 』 の楽曲のメロディやリズムを強調したリミックスが施されている。 リミックス作品については押しなべて失敗作が多いが、唯一オリジナルに雰囲気が近い最終曲が一番面白くないことから、逆説的に本作品の企画が成功していることがわかる。 シルヴィアンのヴォーカルやベイリーのギターのこねくり回され方も悪くはない。 ただ繰り返し聴いた回数がどちらが多いかというと、やはりオリジナルの 『 Blemish 』 になってしまう。
(追加:2017年7月25日)

 

Snow Borne Sorrow : Nine Horses

  1. Wonderful World [ co-writes ]
  2. Darkest Birds [ co-writes ]
  3. The Banality Of Evil [ co-writes ]
      Theo Travis : 2nd Saxophone Solo
  4. Atom And Cell [ co-writes ]
  5. A History Of Holes [ co-writes ]
      Theo Travis : Flute, Saxophone Solos
  6. Snow Borne Sorrow [ co-writes ]
  7. The Day The Earth Stole Heaven [ co-writes ]
  8. Serotonin [ co-writes ]
  9. The Librarian [ co-writes ]

シルヴィアンとジャンセン兄弟を中心としたユニットの作品。
シルヴィアンのヴォーカルと自らによるギター、この力強さが本作の最大の特徴だと思う。
ヴォーカルは、メロディをしっかりと奏でているし、ギターは力強いコード・カッティングをしている。 その組み合わせが顕著に表れているのが ” Darkest Birds ” で、サビでのヴォーカルとギターのカッティングの絡みは、シルヴィアンの過去の作品では見られなかったものである。
シルヴィアンの元来のインスト指向、そして前作 『 Blemish 』 での売れ線の対極に位置するような音楽を踏まえると、これだけ力強さを感じる作品をリリースされるのは、奇蹟のように思える。 品の良いジャケットと同様に派手さこそないが、近年のシルヴィアンの作品としてはベストとして挙げることができると思う。
今現在、こんな素晴らしい作品が日本盤として発売されていない。 契約の問題もあるのだろうが、あまりにももったいないと思う。
(追加:2005年11月25日)

 

2006

Money For All : Nine Horses

  1. Money For All
  2. Get The Hell Out
  3. The Banality Of Evil    Burnt Friedman Remix
  4. Wonderful World    Burnt Friedman Remix
  5. Birds Sing For Their Lives
  6. Serotonin    Burnt Friedman Remix
  7. Money For All    Version
  8. Get The Hell Out    Burnt Friedman Remix

傑作 『 Snow Borne Sorrow 』 からのミニ・アルバム。
アウトテイクとリミックスが中心と言ってしまえばそれまでなのだが、完成度が高い作品がベースになっているだけに、想像以上に楽しむことができる。 願わくば、このままリミックスを出し続けるのではなく、勢いに乗じた新作に取り組んでもらいたい。
『 Snow Borne Sorrow 』 の 「 Thanks to 」にフリップがクレジットされていたので、もしかしたら参加楽曲が収録されているかもと期待していた。 それが叶わなかったのが唯一残念なところである。
(追加:2007年3月15日)

 

2007

Naoshima When Loud Weather Buffeted : David Sylvian

  1. When Loud Weather Buffeted

香川県直島で行われた 「 NAOSHIMA STANDARD 2 」 で公開された作品。 島全体に作品が展示される催しらしいが、観光地としての誘致が目的なのかもしれない。
そんなイベントで公開された本作は、シルヴィアンの今までの作品の中で、最も痛いものになってしまった。
ドローンを中心とした環境音楽系の作品を多くリリースしているシルヴィアンだが、ここではその路線からも外れ、島内で採取したと思われる生活音を中心にした1曲70分もの作品となっている。 もちろんイベントのための作品であり商業路線を考えていないことはわかるのだが、CDフォーマットの単独作品として聴き切るには、気合いを入れる必要がある。
横長の変形パッケージは充分物欲をそそられるが、「 NAOSHIMA STANDARD 2 」 の内容がわかる豪華写真集とかをバンドルしていた方が良かったのではないだろうか。
(追加:2008年1月26日)

 

Slope : Steve Jansen

  1. Grip
      Theo Travis : saxophones
  2. Sleepyard
      Theo Travis : saxophones
  3. Cancelled Pieces
      David Sylvian : guitars
  4. December Train
  5. Sow The Salt
  6. Gap Of Cloud
      Theo Travis : flute
  7. Playground Martyrs
      David Sylvian : lyrics, vocals
  8. A Way Of Disappearing
      Theo Travis : clarinet
  9. Ballad Of A Deadman
      David Sylvian : lyrics, vocals, guitars
      Theo Travis : flutes
  10. Conversation Over
      Theo Travis : saxophone loops
  11. Life Moves On
  12. Playground Martyrs ( reprise )
      David Sylvian : lyrics

スティーヴ・ジャンセンのソロ名義での初作品で、デヴィッド・シルヴィアンの Samadhisound からリリースされた。
好き嫌いで大別すれば、好きな作品である。 音色の創り込みに相当な時間をかけたことがわかるし、古き良き New Wave の香りがするところも良い。 ただ本作品は、エレクトロニクス奏者のスティーヴ・ジャンセンの作品であって、ドラマーのスティーヴ・ジャンセンの作品ではない。 元々ドラマーとしての評価が高いにもかかわらず、ドラムに対するこだわりが感じられない人ではあったが、もう少し彼のドラム演奏を聴きたくなってしまう。
シルヴィアンは、ヴォーカル、演奏、作詞で参加している。 ” Ballad Of A Deadman ” はプロダクションから参加している可能性も感じられるが、” Playground Martyrs ” などは完成した楽曲にメロディを後乗せしたように思える。 自分のレーベル、弟のファースト・ソロ、といったアイコンが全く感じられないのが、シルヴィアンとジャンセンの自然体なのかもしれない。
(追加:2008年5月10日)

 

2009

Manafon : David Sylvian

  1. Small Metal Gods
  2. The Rabbit Skinner
  3. Random Acts Of Senseless Violence
  4. The Greatest Living Englishman
  5. 125 Spheres
  6. Snow White In Appalachia
  7. Emily Eickinson
  8. The Department Of Deat Letters
  9. Manafon

Original sessions recorded between 2004-2007

Produced, engineered edited and mixed by David Sylvian at Samadhisound 2008.

ソロ名義では、『 Blemish 』 以来6年ぶりとなるシルヴィアンの作品。
『 Blemish 』 リリース直後から4年間に渡ってレコーディングされているが、その間にリリースされた Nine Horses 名義の作品で顕れたロック的展開は全く無く、『 Blemish 』 の続編と言って構わない作品となっている。
「デレク・ベイリーが参加している」ということで 『 Blemish 』 が購入されたケースがあったかもしれないが、本作品においては、「シルヴィアンの音楽が好き」というシンプルな理由以外に購入意欲を喚起するものはない。 それ故にフアンにとって試金石となる作品だと思う。
自身の音楽的趣向の変化に伴い、シルヴィアンはファン層を大きく変えながら作品をリリースし続けているが、本作品の路線が最終到着地となるのだろうか。
(追加:2009年12月10日)

 

2010

Sleepwalkers : David Sylvian

  1. Sleepwalkers
  2. Money For All
  3. Ballad Of A Deadman
  4. Angels
  5. World Citizen - I Won't Be Disappointed
  6. Five Lines
  7. The Day The Earth Stole Heaven
  8. Playground Martyrs
  9. Exit / Delete
  10. Pure Genius
  11. Wonderful World
  12. Transit
  13. The World Is Everything
  14. Thermal
  15. Sugarfuel
  16. Trauma

新曲、ツアーCD収録曲、Nine Horses、ゲスト参加曲等をコンパイルした作品。
先ず、企画として大成功している。 ある程度以上のキャリアがあるミュージシャンの場合、オリジナルや準オリジナル以外の作品に相当数参加していることが多く、それを全てフォローしようと思うとそれなり以上の時間と金額を費やすことになってしまう。 そうしたミュージシャンの楽曲を集めて1つの作品にするという発想は素晴らしい。 勿論本作品にしても、色々な大人の事情を踏まえるとコンプリートには程遠いものだと思うが、多くのミュージシャンに是非フォローしてもらいたい。
そして、それにも増して本作品が素晴らしいのは、デヴィッド・シルヴィアンによるヴォーカル・アルバムになっていることである。 『 Blemish 』 のアウトテイクの ” Trauma ” のようなインストもあるが、シルヴィアンのヴォーカルをこれでもかと堪能することができる。 編集盤だからこそできた作品であるが、個人的にはこの数年のシルヴィアンの作品の中でも愛聴している。
(追加:2017年10月10日)

 

2011

Died In The Wool Manafon variations : David Sylvian

  1. Small Metal Gods
  2. Died In The Wool
  3. I Should Not Dare
  4. Random Acts Of Senseless Violence
  5. A Certain Slant Of Light
  6. Anomaly At  Taw Head
  7. Snow White In Appalachia
  8. Emily Dickinson
  9. The Greatest Living Englishman ( coda )
  10. Anomaly At Taw Head ( a haunting )
  11. Manafon
  12. The Last Days Of December
  1. When We Return You Won't Recognise Us

『 Manafon 』 の変奏曲と題された作品。
『 The Good Son VS The Only Daughter 』 が、オリジナルの 『 The Blemish 』 のリミックス集として聴きやすさが施されていたのに対し、本作品は 『 Manafon 』 の路線そのままに編集された楽曲と、同時期にレコーディングされた楽曲が収録されている。
従って、『 Manafon 』 が好みであった人には堪らない作品となっているが、私のように好みから外れてしまっている者にはちょっと厳しい内容になっている。
Disk Two に収録されている ” When We Return You Won't Recognise Us ” は、「 Biennial of Canaries 2008-2009 」というイベントで使われた長尺曲。
(追加:2017年7月25日)

 

2012

A Victim Of Stars 1982 - 2012 : David Sylvian

  1. Ghosts
  2. Bamboo Houses
  3. Bamboo Music
  4. Forbidden Colours
  5. Red Guitar
  6. The Ink In The Wall
  7. Pulling Punches
  8. Taking The Veil
  9. Silver Moon
  10. Let The Happiness In
  11. Orpheus
  12. Waterfront
  13. Pop Song
  14. Black Water
  15. Every Colour You Are
  16. Heartbeat ( Tainai Kaiki II )
  1. Jean The Birdman
  2. Alphabet Angel
  3. I Surrender
  4. Darkest Dreaming
  5. A Fire In The Forest
  6. The Only Daughter
  7. Late Night Shopping
  8. Wonderful World
  9. The Banality Of Evil
  10. Darkest Birds
  11. Snow White In Appalachia
  12. Small Metal Gods
  13. I Should Not Dare
  14. Manafon
  15. Where's Your Gravity?

シルヴィアンのベスト・アルバム。
ベスト・アルバムとしては、2000年に発表した『 Everything And Nothing 』 があるが、それ以降を含めて改めて丁寧に編集しなおした作品という位置づけだと思う。 ” Ghosts ” が収録されているが、クレジットは『 Everything And Nothing 』 からの収録とされており、JAPAN 以降の作品をまとめたものとの意思を明確に感じることができる。
『 Everything And Nothing 』 と異なりほぼ年代順に編集しているため、シルヴィアンの作品傾向の変化が解りやすい。 一方その変化の度合いが大きいだけに、自分にとってどの時期の作品が好みかが明らかになる。
個人的には 『 Manafon 』 以降の作品と距離をとってしまっていることがわかり、ちょっと寂しかったりする。
(追加:2012年5月10日)

 

Wandermüde : Stephan Mathieu David Sylvian

  1. Saffron Laudanum
  2. Velvet Revolution
  3. Trauma Ward
  4. The Father Away I Am ( Minus 30 Degrees )
  5. Dark Pastoral
  6. Telegraphed Mistakes
  7. Deceleration

Stephan Mathieu : Ebowed Virginals, Farfisa Organ, Radio, Fender Twin
David Sylvian : Guitars, Synthesizers, Samples, Ampeg
tk.7 guitar laptop by christian fennesz
tk.5 piano performed by John Tilbury

『 Blemish 』 の新解釈として、ステファン・マシューとともに再構築した作品。
デレク・ベイリーのギターは無い。 シルヴィアンの声は微かにある。 ただそういったレベルではなく、本作品はリミックスや変奏曲を超えた 「 a new interpretation 」 であるためか、『 Blemish 』 の残り香を感じることはできない。
勿論それは私自身の聴き込みが足りない所にも起因しているのだが、ここで展開しているのは電子ノイズの嵐である。 中心になっているのはぶ厚めのホワイト・ノイズというか、重量級のエアコンの室外機とのような音である。 個人的にはこれらの電子ノイズの音自体は嫌いではないのだが、シルヴィアンのヴォーカルがもっとフィーチャーされた作品を聴きたい。

(追加:2017年7月25日)

 

Uncommon Deities : Jan Bang Erik Honore

  1. The God Of Single Cell Organisms 
  2. The God Of Sleeplessness 
  3. The God Of Silence 
  4. The God Of Smaller Gods 
  5. The God Of Caresses 
  6. The God Of Black Holes 
  7. The God Of Adverbs 
  8. The Ruminative Gap
  9. The God Of Crossroads 
  10. The God Of Tiny Islands 
  11. The God Of Gradual Abdication 
  12. I Swallowed Earth For This  

Davis Sylvian : Voice

Concept based on the audio-visual installation " Uncommon Deities " by David Sylvian, commissioned by The Punkt Festival

2011年に行われた The Punkt Festival でのインスタレーションを元に制作された作品。
別スタジオで録音されたデヴィッド・シルヴィアンの語りに、スタジオやインスタレーション会場でライヴ録音された演奏が被さってくるというパターンが、殆ど全ての曲で採用されている。 演奏自体はインスタレーションの会場では主張が強すぎるところもあるが、CDとしてまとまった作品として聴くと地味な内容である。
ただ、どの曲も最初にシルヴィアンのあの声から始まるという構成のため、彼のあの声に魅力を感じている人にはアプローチする所が大きいと思う。 何の前情報もなく本作品をCDプレイヤーにセットし、いきなりシルヴィアンの声が聴こえてきた時には、結構な衝撃があった。
(追加:2019年5月10日)

 

2014

There's A Light That Enters Houses With No Other House In Sight : David Sylvian featuring Franz Wright & Christian Fennesz

  1. There's A Light That Enters Houses With No Other House In Sight

Franz Wright    Spoken Word
Christian Fennesz    Guitar, Laptop
David Sylvian    Piano, Sampling, Laptop, Electronics
John Tibury    Additional Piano

シルヴィアン名義の最新アルバム。 フランツ・ライトという詩人自らの詩の朗読を挟みながら、1曲60分強が展開される。
1枚1曲の作品としては、過去に 『 Naoshima 』 があるが、フィールドで採取した生活音を中心に組み合わせた同作とは異なり、丁寧に作り込まれた作品となっている。 また、インスト+ヴォーカルだけどそのヴォーカル(というか朗読)がシルヴィアンではないというパターンは、シルヴィアン&フリップによる ” Redemption ” 以来であるが、同作と異なり起伏もそれなり以上にある作品となっている。
インストの起伏と詩の朗読はリンクしておらず、盛り上がったインストに朗読が被さったり、朗読がないのに静寂に近いインスト・パートがあったりで、展開が読めない面白さがある。 共演者と過剰に調和しないという手法は、デレク・ベイリーとの 『 Blemish 』 を彷彿させるが、そこでの経験が本作品に良い形で活かされているのかもしれない。 
(追加:2017年5月10日)