King Crimson Data Base
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Live In Mainz 1974  -2001-

  1. Improv : The Savage ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / インプロヴィゼイション:ザ・サヴェージ
  2. Dr Diamond ( Fripp, Wetton, Bruford, Cross ) / ドクター・ダイアモンド
  3. Improv : Arabica ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / インプロヴィゼイション:アラビカ
  4. Exiles ( Cross, Fripp, Palmer-James ) / エグザイルズ
  5. Improv : Atria ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / インプロヴィゼイション:アトリア
  6. The Night Watch ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / ナイト・ウォッチ
  7. Starless ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Palmer-James ) / スターレス
  8. Lament ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / ラメント
  9. Improv : Trio ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / インプロヴィゼイション:トリオ
  10. Easy Money ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / イージー・マネー

David Cross    violin - mellotron - electric piano
Robert Fripp    guitar - mellotron - electric piano
John Wetton    bass guitar - vocals
Bill Bruford    drums - percussion

March 30 1974

King Crimson Collectors' Club の第15弾としてリリースされた本作品は、解散前の最後のヨーロッパ・ツアーを収録したもの。 その後の北米ツアーの音源は多いものの、ヨーロッパ・ツアーからの音源は 『 Cirkus 』 での1曲のみのため、貴重な音源といえる。 本公演はクリムゾン史(笑)の中で長く存在自体が認知されておらず、『 The Great Deceiver 』 のツアー・データにも記載されていなかった。
本作品の特色は、インプロから楽曲になだれ込むパターンが冒頭連続していることである。 第3期クリムゾンのライヴは、『 The Great Deceiver 』 でその多くが蔵出しされているだけに、ライヴをそのまま収録する編集を意図的に避けたことが伺える。
また、本公演におけるウェットンのプレイは特筆に値する。 ベースもヴォーカルもその充実度は素晴らしく、ウェットンのベスト公演と言っても過言ではないと思う。
日本では、『 The Collectors' King Crimson Volume 4 』 の1作品としてリリースされているが、” Easy Money ” のエンディングが大きく異なっている。

  1. ” Improv : The Savage ” は、ブリブリに歪みまくったウェットンのベースを中心に、ギター、ドラム、ヴァイオリンが絡んでくる曲。 ウェットンのベースはひたすら格好良く、このままディスク1枚分演奏を続けてほしいと思ってしまう程素晴らしい。
  2. ” Dr Diamond ” は、『 The Great Deceiver 』 に以来2度目の音源化。 中間部のインスト・パートがもったりとして緊張感がないのは相変わらずで残念だが、『 The Great Deceiver 』 収録テイクより個人的には好き。
  3. ” Improv : Arabica ” は ” Improv : The Savage ” と比べてまとまりの無い演奏。 一人一人が勝手に演奏している印象が強く、インプロというより次曲の長めのイントロといったところ。
  4. ” Exiles ” では、時々メロトロンの音程が怪しげになるものの、総じてまとまりのある演奏。 特筆すべきはウェットンのヴォーカルの調子の良さで、のびのあるハスキーな声には本当にゾクゾクする。 フリップのソロや、メロトロンをバックにしたベース・ソロが目立たないことなど気にならないほどである。
  5. ” Improv : Atria ” は、前半こそ間延びした演奏だが、途中から急激に緊張感の高い演奏に移行する。 こういった演奏を聴いてしまうと、つくづくこの時期のライヴを実際に観ておきたかったと思う。
  6. ” The Night Watch ” のイントロ・パートはこの時期においても危うい演奏。 『 Starless And Bible Black 』 収録のアムステルダムのテイクが、いかに素晴らしい演奏であったのかあらためて認識することができる。
  7. ” Starless ” は、クロスのヴァイオリン・ソロが大きくフィーチャーされている。 ウェットンの歌詞がでたらめなのはライヴの定番だが、ブルーフォードのおかずがいつになく多かったり、聴きどころは多い。 ただ、フリップのソロ時のクロスのエレピによるバッキングは滅茶苦茶格好悪い。
  8. ” Lament ” はフリップやブルーフォードの演奏ミスが散見する。 フリップのソロ、ラストのユニゾン・パートとも迫力はなく、たいした演奏ではない。
  9. ” Improv : Trio ” は、『 Starless And Bible Black 』 収録の ” Trio ” の完全な裏バージョン。 ウェットンのベースは時折ブリブリするし、ブルーフォードもわずかではあるがパーカッションを叩いていたりする。 美しさの欠片も無い演奏だが、貴重なテイクだと思う。
  10. ” Easy Money ” は、無難な演奏。 特定の楽器が目立つこともなくバランスのとれた演奏で、ハラハラする面白みはないものの落ち着いて聴くことができる。
    本テイク、The Collectors' King Crimson では、演奏終了後にオーディエンスの拍手とともに終了するが、King Crimson Collectors' Club ヴァージョンでは、シームレスに ” Fracture ” のイントロ ( のみ ) が演奏される。 何を意図した編集なのかよくわからないが、” Fracture ” のイントロのみを聴かされる The Collectors' King Crimson ヴァージョンのストレスは尋常ではない。 この編集だけはいただけない。 二度とやらないで欲しい。

(追加:2002年10月10日)