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    God Save The Queen / Under Heavy Manners : Robert Fripp

1978年に 「 The Drive To 1981 」 との宣言をして、ソロとしての活動を始めたフリップは、2つの大きな挫折を味わうことになる。MOR3部作 ( 『 Exposure 』、『 Sacred Songs 』、『 Peter Gabriel (II) 』 ) と3枚のソロ・アルバム (『 Exposure 』、『 God Save The Queen / Under Heavy Manners 』、『 Let The Power Fall 』 ) の不本意なリリース、評価である。
その中でも 『 God Save The Queen / Under Heavy Manners 』 のリリースは ( その作品の内容とは全く別次元に ) フリップにとって一番不本意なものであると推測される。

当初ディスコトロニクス単独としてリリースされるはずであった本アルバムは、Side -A ( God Save The Queen ) にはフリッパートロニクスによる演奏が3曲、Side-One ( Under Heavy Manners ) にはディスコトロニクスによる演奏が2曲おさめられている。 フリップはこの後フリッパートロニクス単独として1枚 ( 『 Let The Power Fall 』 )、フル・バンド形態でのディスコトロニクスとして1枚 ( 『 The League Of Gentlemen 』 ) をリリースすることになる。

『 God Save The Queen 』

収録されている3曲とも、1979年7月30日のバークレーにおけるフリッパートロニクスである。 この日はフリッパートロニクスの機動力を活かして、2公演行っており、” Red Two Scorer ” はタワー・レコードでの演奏、” God Save The Queen ” と ” 1983 ” はベアーズ・レアでの演奏である。
” God Save The Queen ” は、観客からの ” Star Spangled Banner ( アメリカ国家 ) ” のリクエストに対し、フリップらしいアイロニカルな対応としてイギリス国家の一部をもとに演奏したものである。 次回フリップの来日時に、誰かインタビュー時に ” 君が代 ” をリクエストしてもらえないものであろうか? ( 爆死確実だが )
” 1983 ” というタイトルは、『 Let The Power Fall 』 における6曲のタイトル ( ” 1984 ” から ” 1989 ” ) に引き継がれていくことになる。

Under Heavy Manners

” Under Heavy Manners ” は、1979年8月8日のカルガリーのプラネテリウムでのフリッパートロニクスをもとに、同年9月にギター、ベース(パスター・ジョーンズ)、ドラム(ポール・ダスキン)をダビング、更には同年12月にデヴィッド・バーンがアブサルム・エル・ハービフという変名でヴォーカルをダビングしている。 スティックを加え、手数の多いドラムに差し替えれば、ディシプリン・クリムゾンの様な音になる。
” The Zero Of The Signified ” は、1979年7月25日のLAのマダム・ウォン邸でのフリッパートロニクスに、後からギター、ベース、ドラムスをダビングしたものである。 特筆すべきは曲後半まで続くダビングされたギターのシーケンシャル・フレーズである。 リーグ・オブ・ジェントルメン、ディシプリン・クリムゾンにおけるどの曲よりも長く、鬼気迫る演奏である。 とは言ってもフリップにとっては訓練以外の何物でもないのかもしれないが。

ディスコトロニクスとは何か

数多いフリップのコンセプト、造語の中で、ディスコトロニクスは短命に終わったものの一つとして挙げることができると思う。
『 God Save The Queen / Under Heavy Manners 』 におけるフリップ自身のライナーによれば、「 フリッパートロニクスとディスコとの裂け目に生じた音楽体験 」 と定義づけている。 そして 「 Roscotoronics ( フリッパートロニクスとダンスに適したあらゆるロックの表現形式との裂け目に生じた音楽体験 )、もしくは Dorotoronics ( ' Dance Oriented Rock ' というレーベルから ) という表現を使うほうが適切かもしれない 」 と補足している。
全く意味が判らない。
意味が判らないことをいいことに(?)、個人的にはその音から以下のように考えている。
『 Under Heavy Manners 』 における音がディスコトロニクスとするならば、ディスコトロニクスとは、ダンス・ミュージックにフリッパートロニクスを被せたものである。
更に 『 The League Of Gentlemen 』 をもディスコトロニクスとするならば、シーケンシャル・フレーズを多用したダンス・ミュージックである。
ちなみに、『 Under Heavy Manners 』 と 『 The League Of Gentlemen 』 を1枚に編集した 『 God Save The King ( 後述 ) 』 のフリップ自身のライナーにおいて、ディスコトロニクスという言葉は1回も出てこない...

God Save The King 』 について

God Save the King

1985年にリリースされた 『 God Save The King 』 は、『 Under Heavy Manners 』 と 『 The League Of Gentlemen 』 を1枚に編集したアルバムである。 オーバー・ダビング、及び捨曲(と一部の良い曲)のオミットまでをしてフリップが本アルバムをリリースしたのは、フリップ流ダンス・ミュージック(前述の通り、本アルバムにおいてフリップはディスコトロニクスという言葉を使用していない)を、きちんとした形で残しておきたかったからだと推測できる。
本アルバムで特筆すべきは、やはりタイトル曲である”God Save The King” である。 本曲は『 Under Heavy Manners 』 に収録されている” The Zero Of The Signified ” に、1983年になってフリップがギター・ソロをダビングして改題したものである。 鬼気迫るシーケンシャル・フレーズ、フリッパートロニクス、ギター・ソロと3拍子そろった本曲は、フリップのベスト・トラックの1つに挙げることができると思う。  

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