King Crimson Data Base
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Three Of A Perfect Pair  -1984-

  1. Three Of A Perfect Pair / スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー
  2. Model Man / モデル・マン
  3. Sleepless / スリープレス
  4. Man With An Open Heart / マン・ウィズ・アン・オープン・ハート
  5. Nuages ( That Which Passes, Passes Like Clouds ) / ヌアージ
  1. Industry / インダストリー
  2. Dig Me / ディグ・ミー
  3. No Warning / ノー・ウォーニング
  4. Larks' Tongues In Aspic Part III / 太陽と戦慄パートIII

Adrian Belew    Voice, Fretted and Fretless guitars
Robert Fripp    Guitar
Tony Levin    Bass, Stick, Synth and Background Voice
Bill Bruford    Acoustic and Electric Drumming

Music by King Crimson
Words by Adrian Belew

Produced by King Crimson

1984年2月に先行シングルとして ” Sleepless ” をリリースした後、3月に本アルバムはリリースされている。
アルバムリリース後、4月から日本全国をどさ廻りした後、7月までアメリカ、カナダ・ツアーを行い、ディシプリン・クリムゾンは解体している。
本アルバムには 『 Discipline 』 のような2本のギター+スティック、スティック ( ベース ) +ドラムの絡みを堪能することができる曲は少なく、当時裸の王様状態でもてはやされていたインダストリアル・ノイズ風の曲が多く収められている。 フリップは後に、『 Discipline 』 をつくりたいがために後の2作品はリリースした 」 ( ロッキン・オン179号 ) と語っていが、もしそれが本当であるならば、インダストリアル・ノイズ風の曲はフリップにとって契約履行のためにつくった作品なのかもしれない。
ただリリース直後の日本においては、” 太陽と戦慄 ” シリーズの復活やアルバム両サイドに 「 レフト・サイド 」 「 ライト・サイド 」 といった名前をつけるなどといったプログレ的虚仮威しが受けたのか、あるいは来日公演が幸いしたのか、ロッキン・オン誌を中心にやたらと評判が良かった作品。

  1. アルバム・タイトル曲である ” Three Of A Perfect Pair ” は、本アルバムの中において前2作に収録されても違和感の無い唯一の曲。 ただ楽器同士の絡みに緊迫感は少なく、手堅い円熟芸を見せられているようであまり面白くない。
  2. ” Model Man ” の聴き所は一つ、後半の間奏部分で一瞬だけ緊迫感あるフレーズが出てくるところ。
  3. ” Sleepless ” は、古典的ロックン・ロールのフォーマットを使用しながらも、ディシプリン・クリムゾンが駆使していた当時最新のテクノロジーと演奏技術が理想的な形で提示された画期的かつ素晴らしい楽曲だと思う。
    この曲のオリジナル・アルバムにおけるミックスはボブ・クリアマウンテン。 当時既に売れっ子であった彼を担ぎ出したワーナーに、どこまでの商売気があったかは不明だが、個人的には大好きである。
    ただ、The Definitive Edition 以降は、ジャケットにおけるクレジットこそ(怠慢のためか)ボブ・クリアマウンテンによるミックスのままになっているが、シングルでもリリースされていないテイクに差し替えられている。
  4. ” Man With An Open Heart ” は中途半端なバラードといったところか。 それほど面白い曲でもない。
  5. ” Nuages ” は楽曲自体としては地味だが、お約束のギター・シンセのコード弾きをバックに、滑らかなギター・ソロ、時々聞こえるアコースティック風のギター、もう少しフェイダーを上げてもらいたいくらいのディストーション・ギター、と様々なギターを堪能することができる。
  6. ” Industry ” は、レヴィンの一定したベースの上を、インプロの様で実はスコアをちゃんと書いてありそうなギター・シンセと、時より激しいドラムと、様々なノイズが被さった曲。
  7. ” Dig Me ” は、奇妙なギターのリフが多少気になるものの、たいした曲ではない。
  8. ” No Warning ” は、インダストリアル・ノイズ風のつまらない曲。 本アルバムにおけるこの3曲の連続はとても辛いところである。
  9. ” Larks' Tongues In Aspic Part III ” は、大きく3つのパートに分けることができる。
    先ず、1984年の来日公演パンフや多くのギター雑誌に取り上げられたフリップのオルタネイト・ピッキングによるシーケンシャル・フレーズ。
    そして、ディシプリン・クリムゾンの真骨頂とも言えるギター+ベース、 ベース+ドラムの絡みが、異様な高揚感を与えてくれる中間部につながる。 『 太陽と戦慄 』 というはったりを無視しても、このパートはディシプリン・クリムゾンのベストに挙げることができると思う。
    で、最後が一定のリズム・パターンの上をフリップがギターを弾きまくる ( だけ ) でフェイド・アウトするパート。 後のシルヴィアン&フリップでこのパターンは多用されるのだが、全く面白くない。 他人のアルバムに客演した際なら許せても ( というより大歓迎するのだろうが )、クリムゾンでこれをやられても消化不良で終わるだけである。

以下は、2001年に発表された 30th Anniversary Edition についての補足です (追加:2001年4月25日)

Left Side

  1. Three Of A Perfect Pair / スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー
  2. Model Man / モデル・マン
  3. Sleepless / スリープレス
  4. Man With An Open Heart / マン・ウィズ・アン・オープン・ハート
  5. Nuages ( That Which Passes, Passes Like Clouds ) / ヌアージ

Right Side

  1. Industry / インダストリー
  2. Dig Me / ディグ・ミー
  3. No Warning / ノー・ウォーニング
  4. Larks' Tongues In Aspic Part III / 太陽と戦慄パートIII

Left Side

  1. The Other Side The King Crimson Barber Shop / ザ・キング・クリムゾン・バーバー・ショップ
  2. Industrial Zone A / インダストリアル・ゾーンA
  3. Industrial Zone B / インダストリアル・ゾーンB
  4. Sleepless ( Tony Levin Mix ) / スリープレス ( トニー・レヴィン・ミックス )
  5. Sleepless ( Bob Clearmountain Mix ) / スリープレス ( ボブ・クリアマウンテン・ミックス )
  6. Sleepless ( Dance Mix - E.Kevorkian ) / スリープレス ( ダンス・ミックス - F.キヴォーキアン )

” The King Crimson Barber Shop ” は、『 The Essential King Crimson : Frame By Frame 』 や 『 The Abbreviated King Crimson : Heartbeat 』 の収録テイクとは異なり、曲頭にレヴィンの拍子をとっている声が収録されている。 ” Industrial Zone A ” は、タイトルからして今更インダストリアルはないだろうという感じだが、実際曲自体もつまらない全くの没テイク。 ” Industrial Zone B ” は、シンセサイザーを利用した発信音に、ブルーフォード&レヴィンのリズムが絡んでくるだけの曲。 Right Side に収録されているインダストリアル・ノイズ系の曲と同じくらいつまらない曲。 ” Sleepless ” については、Sleepless のヴァージョン違いについて に詳細を記載。