King Crimson Data Base
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USA [CD]  -2002-

  1. Walk On... No Pussyfooting ( Fripp, Eno ) / ノー・プッシーフッティング
  2. Larks' Tongues In Aspic Part II ( Fripp ) / 太陽と戦慄パート II
  3. Lament ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / 人々の嘆き
  4. Exiles ( Cross, Fripp, Palmer-James ) / 放浪者
  5. Asbury Park ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / アズベリー・パーク
  6. Easy Money ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / イージー・マネー
  7. 21st Century Schizoid Man ( Fripp, McDonald, Lake, Giles, Sinfield ) / 21世紀のスキッツォイド・マン
  8. Fracture ( Fripp ) / 突破口
  9. Starless ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford, Palmer-James ) / スターレス

David Cross ~ Violin and Keyboards
Robert Fripp ~ Guitar and Mellotron
John Wetton ~ Bass and Voice
William Bruford ~ Percussives

Remix assistance
Eddie Jobson, Violin on ' Larks' Tongues ' ' Schizoid Man ' and piano on ' Lament '
George Chkiantz recording engineer throughout
Recorded live by the Record Plant N.Y.C. June 1974
Mixed at Olympic Studio, London

24 bit remaster by Simon Heyworth and Robert Fripp at Sanctuary Mastering, London, March 26-27, 2002

何度も、本当に何度もCD化の噂が流れ、フリップ・サイドからも 『 USA II 』 としてのリリースがアナウンスされたりもしたが、結局2002年にリマスター+2曲追加+ ” No Pussyfooting ” の独立という形で 『 USA 』 はCD化された。
楽器のバランスをいじったり、エフェクトをかけたりしている一方で、” Easy Money ” の完全収録と録音場所の明確化はされていない。 また、エディ・ジョブソンのよるオーバー・ダブはそのまま残されており、ライヴの原形もわからないままである。
King Crimson Collectors' Club として「そのままのライヴ・アルバム」をリリースしていることもあり、「加工されたライヴ・アルバム」のままでのCD化をフリップが意図的に行ったものと想像できる。 

『 USA 』 音源の混乱の歴史は以下の通りです。

  1. 1975年にリリースされたオリジナル 『 USA 』 には、6月にレコーディングされたとしか記載されていない。
    また、エディ・ジョブソンがスタジオでオーバー・ダブをした 「加工されたライヴ・アルバム」 で、オリジナルの演奏がどのようなものであるかわからなくなっている。

    オリジナルの 『USA 』 には、6月に録音されたということしかクレジットされていない。
    Recorded live by the Record Plant N.Y.C. June 1974

    オリジナルの 『USA 』 には、演奏メンバーについて以下の通りクレジットされている。
    David Cross ~ Violin and Keyboards
    Robert Fripp ~ Guitar and Mellotron
    John Wetton ~ Bass and Voice
    William Bruford ~ Percussives
    Eddie Jobson, Violin on ' Larks' Tongues ' ' Schizoid Man ' and piano on ' Lament '
  2. 同じく1975年にリリースされた 『 A Young Person's Guide To King Crimson 』 において、 『 USA 』 の録音場所について一部ではあるが初めて記載された。

    『 A Young Person's Guide To King Crimson 』 添付のブックレットの年表には以下の記述のみされている。
    June 28    " Asbury Park " recorded at Asbury Park Casino
    June 30    " Providence " and most of " USA " recorded at the Palace Theatre, Providence, R.I. (下線部はKCDB)

    その後1990年代に入るまで、” Asbury Park ” が6月28日のアズベリー・パーク、それ以外の収録曲の殆どが、30日のプロヴィデンスでのライヴということ以外、録音場所についての判断方法は無かった。
           
  3. 1991年に 『 The Essential King Crimson : Frame By Frame 』 がリリースされ ” Asbury Park ” の録音場所について再確認がされた。

    CD4に収録されている ” Asbury Park ” について、ブックレットに以下の通りクレジットされている。
    recorded at The Casino, Asbury Park on June 28th. 1974 by The Record  Plant, NYC. Originally released on "USA"(1975)
    Re-mixed by Robert Fripp and Tony Arnold and David Singleton at The Courthouse, July 1991.

    添付のブックレットの年表には、『 A Young Person's Guide To King Crimson 』 のものと同じく以下の記述がされている。
    June 28    " Asbury Park " recorded at Asbury Park Casino
    June 30    " Providence " and most of " USA " recorded at the Palace Theatre, Providence, R.I. (下線部はKCDB)

    ここに収録された ” Asbury Park ” は、各楽器のバランスが大きくいじられているものの、別テイクと判断できるものではなかった。  
             
  4. ついで1992年にリリースされた 『 The Great Deceiver : Live 1973-1974 』。 この4枚組CDボックスに、6月30日のプロヴィデンスでのライヴが完全収録されており、ここで混乱が一気に生じている。

    CD1、及びCD2の当該部分には以下の通りクレジット記述されている。
    Palace Theatre Providence, Rhode Island; June 30th 1974.

    『 USA 』 と 『 The Great Deceiver : Live 1973-1974 』 でダブっている曲は以下の通り。
    Larks' Tongues In Aspic Part II
    Lament
    Exiles
    Asbury Park
    Easy Money
    21st Century Schizoid Man

    ” Asbury Park ” を除いた5曲のうち、「 most of 」が同一音源であるはずだが、実際にはその判断が非常に困難になっている。
    『 USA 』 におけるジョブソンによるダビングや、中途半端なフェーズ・アウト、『 The Great Deceiver : Live 1973-1974 』 における大幅な音質改善と各楽器のバランスの変更も原因としてあげることができるが、ブックレットにおいて 『 USA 』 との関連についての記載がないことがその一番の問題であったと思う。
                     
  5. 1996年に King Crimson Collectors Edition No.2 としてリリースされた 『 Schizoid Man 』 に収録された ” 21st Century Schizoid Man ” が問題を更に複雑にしている。

    インナーには以下の通り記述されている。
    from USA II (Discipline release, Spring 1997) recorded at Asbury Park, NJ on 28 June 1974 by the Record Plant NYC

    ここで収録されている ” 21st Century Schizoid Man ” は、『 USA 』や『 The Great Deceiver 』 収録のものと明らかに異なる。
    クレジットをそのまま信じる限り、結局リリースされなかった 『 USA II 』 には、 ” Asbury Park ” と同じく28日のアズベリー・パークでの ” 21st Century Schizoid Man ” が収録予定で、オリジナルの 『 USA 』 とは明らかに異なる作品を意図していたものと思われる。   
                
  6. そして、2002年に 30th Anniversary Edition としてリリースされた 『 USA 』。 ここでクレジットが明確にされれば全てが解決したわけだが、クレジットは不明確なまま(というか、オリジナルのまま)で何も進展しなかったどころか、追加収録された ” Fracture ” と ” Starless ” についても何のクレジットもなく、混乱を増長させるだけであった。

(追加:2002年9月10日)