King Crimson Data Base
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Lizard  -1970-

  1. Cirkus including Entry of the Chameleons / サーカス (インクルーディング: カメレオンの参上 )
  2. Indoor Games / インドア・ゲーム
  3. Happy Family / ハッピー・ファミリー
  4. Lady Of The Dancing Water / 水の精
  1. Lizard / リザード
    (a) Prince Rupert Awakes / ルーパート王子のめざめ
    (b) Bolero - the Peacock's Tale / ピーコック物語のボレロ
    (c) The Battle of Glass Tears including / 戦場のガラスの涙 :  
        (i) Dawn Song / 夜明けの歌        
        (ii) Last Skirmish / 最後の戦い        
        (iii) Prince Rupert's Lament / ルーパート王子の嘆き
        (d) Big Top / ビッグ・トップ

Robert Fripp   Guitar, Mellotron, Electric Keyboards & Devices
Mel Collins   Saxes & Flute
Gordon Haskell  Bass Guitar & Vocals
Andy McCulloch   Drums
Peter Sinfield   Words & Pictures
with
Robin Miller   Oboe & Cor Anglais
Mark Charig   Cornet
Nick Evans   Trombone
Keith Tippett   Piano & Electric Piano
Jon Anderson of YES   Vocals on ' Prince Rupert Awakes '

Written & Produced by Robert Fripp & Peter Sinfield

『 In The Wake Of Poseidon 』 がリリースされた1970年5月において既にリハーサルが開始していた本作品は、8月から正式にレコーディングを開始して、同年12月11日にリリースされている。
リリース直前にハスケルが脱退したこともあり、『 In The Wake Of Poseidon 』 と同じくプロモーションのためのライブは一度も行われることなく終わっている。
キース・ティペット、マーク・チャリグ、ニック・エバンスといったキース・ティペット・グループのメンバー、クラシックの演奏家であるロビン・ミラー、そしてイエスのジョン・アンダーソンと、クリムゾンの全作品の中でゲストの多様性に一番満ちている。
フリー・ジャズ風の不気味な曲が並ぶA面と、コンセプトが全面に出過ぎているために冗長的になっているB面という構成で、バンドとしての機能は満たしていないフリップ&シンフィールドによるプロジェクトの作品としてとらえるのが正解かもしれない。

  1. ” Circus ” は、明らかに前2作では見られなかった曲調である。 過度にエフェクト処理されたピアノとヴォーカル、重く引きずるようなドラムも今までないパターンである。 フリップのプレイとして特筆すべき点としては、アコースティック・ギターを多用していることと、シンセサイザー(多分VCS3)を演奏していること。 妙に明るいコリンズとチャリグの演奏も逆に不気味である。
  2. ” Indoor Games ” は、ゲスト・ミュージシャンとコリンズのインプロが不用意に重なり合っているものの、ベース、ギター、ドラムのスリー・ピースが手堅くリズムをキープすることにより、単なるアバンギャルド・ミュージックに成り下がることなく曲としての体裁を保っている。 それにしてもハスケルのヴォーカルには深みがない。
  3. ビートルズの影響を指摘されることの多い ” Happy Family ” も、主旋律を別にするとゲスト・ミュージシャンとコリンズの独壇場。 特にティペットのピアノは ” Cat Food ” を彷彿させる名演。
  4. ” Ladies Of The Dancing Water ” は、シンフィールドの趣味がもろに現れた曲。 自身のソロやG、G&Fの地味目の曲と似ている。 旋律は美しい、でもそれだけかもしれない。
  5. アナログB面の全てをつかった ” Lizard ” は、ジョン・アンダーソンがヴォーカルをとる ” Prince Rupert Awakes ” から始まる。 相変わらず弾きまくるティペット、うねうねとしたフリップのギターが特徴的で、妙に盛り上がったと思うと、唐突に次曲につながる。
    ” Bolero ” は、その名の通りボレロのリズムをキープした上に、各自がソロ、バッキングを交互に取り合う。
    ” The Battle Of Glass Tears ” は、さらに3部構成に分かれる。 ” Dawn Song ” は僅かなバッキングとハスケルのヴォーカルだけの曲。 B面においてハスケルがヴォーカルをとるのはこの部分だけである。 ” Last Skirmish ” では、本アルバムにおいて最もメロトロンがフィーチャーされている。 管楽器、ピアノとメロトロンの絡み方は激しく美しい。 ” Prince Rupert's Lament ” では、フリップのディストーション・ギターが炸裂(しかけて)いる。 「 Lament 」 を表すためなのか、ギターの音が遠くで鳴っているようなミックスが残念。
    ” Big Top ” はテープの回転数が急に早くなって終わるだけの曲。 ギミックへの頼り方が、『 Earthbound 』 における ” Groon ” でのドラムへのシンセ処理と同じくらいアナクロなものである。