King Crimson Data Base
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Books

1981

キング・クリムゾン 至高の音宇宙を求めて

著者:北村昌士

出版社:新興楽譜出版社

『 A Young Person's Guide To King Crimson 』 のブックレットの翻訳を中心にまとめられたもの、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、出版された時はどうやってこれだけの情報を入手したのだろうと驚愕したものである。 いかに当時クリムゾンに関する情報が不足していたかを端的に表していると思う。
ただ内容自体はそんなことを別にしても、当時の他のシンコー・ミュージックの ROCK BOOKS とは一線を画する素晴らしい出来具合である。 巻末のディスコグラフィーも素晴らしく、後述の 『 地球音楽ライブラリー キング・クリムゾン 』 が出版されるまでの間はこれとフールズ・メイト13、14号を頼りにするしかなかった程である。
(追加:1999年7月25日)

 

1993

ロバート・フリップ  キング・クリムゾンからギター・クラフトまで

著者:エリック・タム著、塚田千春訳

出版社:宝島社

フリップへのインタビュー、雑誌記事の丹念な収集によって書かれた素晴らしい論文。 ただし、本著出版までの著者の道のりは笑えない。 悲しくて涙が出そうになる。
カリフォルニア大学バークレイ校での音楽論の博士号取得のために論文テーマにクリムゾンを選択
→フリップへの協力依頼
→フリップからのギター・クラフトへの参加指示
→参加、にも拘わらずフリップの非協力
→論文テーマをイーノに変更 ( 博士号取得 )
→思い断ち切れず本著をまとめる。
翻訳出版されたことはたいへん嬉しいが、最大の問題点は原著巻末の ” Notes ” と ” Bibliography ” がそっくり抜かしていること。 資料的価値が半減している上に、これでは本著を論文としてとりまとめようとした著者の意図を全く無視したことになる。 渋谷Tower Record の洋書コーナーで ( 確か ) 2,000円程度で発見。 英語読めないけど上記理由で購入、本棚に鎮座している。
(追加:1999年7月25日)

 

1995

地球音楽ライブラリー キング・クリムゾン

著者:松井巧、吉原聖洋、岩本晃市郎

出版社:TOKYO FM出版

これまた素晴らしいカタログ。
ミス(特に校正ミス)が多く気になることもあるが、ジャケット写真もふんだんに盛り込まれ見ていてあきない。 構成に極端なまでの偏りがあるのは、複数の執筆者の原稿をそのまま編集したためと思われる。
どうせならフル・カラーにしてほしかった。フル・カラーにすることによって価格が2(or3?)倍になったとしても、購入層は確定されている(はず)だけに、発行数(5,000)はかわらなかったと思う。
1999年2月の東京高裁での控訴審判決により、再出版できるようになったはずであるが、現在のところその気配はない。(その後再発。ただし内容は更新されず)
(追加:1999年7月25日)

 

2004

キング・クリムゾン

編集長:岩本晃市郎

出版社:ストレンジ・デイズ

控訴審判決が出たとは言えやりにくかったのか、『 地球ライブラリー キング・クリムゾン 』 以来久々のクリムゾン本。
ストレンジ・デイズ誌に掲載されたインタビューと現在・過去のメンバー毎ディスコグラフィーという構成は、オーソドックスながら丁寧に編集されており読み応えがある。 聴いたことのない、持っていないアイテムを眺めるのは精神衛生上良くない所もあるが、クリムゾン道の奥の深さを再認識することができる。
ディスコグラフィーがフル・カラーなのが何よりも素晴らしい。 なお、本書はその後同じストレンジ・デイズから「Little Discography Series」として2013年に再発されている。 内容がディスコグラフィーのみにフォーカスされているのが残念。
(追加:2004年5月25日)

 

2006

キング・クリムゾン・UKアナログ盤・ガイドブック

文・監修:岩本晃市郎

出版社:ストレンジ・デイズ

クリムゾンとクリムゾン関連作品のアナログ・ジャケットが、カラーのみでひたすら紹介される作品。
物欲と物欲を満たすことのできない悲しさの両方を味わうことができるガイドブックである。
(追加:2011年8月25日)

 

2007

クリムゾン・キングの宮殿

著者:シド・スミス著、池田聡子訳

出版社:ストレンジ・デイズ

シド・スミス渾身のクリムゾン本。
当事者へのインタビューに基づき記載されており、伝聞要素が排除されている。
多分今後もこれ以上のクリムゾン本が出版される機会はなく、絶版になる前に入手が必須な作品と言える。
(追加:2011年8月25日)

 

Musical Guide to In The Court Of The Crimson King by King Crimson
Musical Guide to In The Wake of Poseidon by King Crimson and McDonald and Giles by McDonald and Giles
Musical Guide to Larks' Tongues In Aspic by King Crimson

著者:Andrew Keeling

CD-ROM 版でポセイドンと戦慄のガイドを出したこともあるアンドリュー・キーリングによる解説本。
自らフルート奏者としても活動しているだけに、音楽的解説は専門的で、半端な英語力だととても太刀打ちできない。 巻末の写真を眺めているだけでも充分楽しいが。
(追加:2011年8月25日)

 

2015

文藝別冊  キング・クリムゾン  二十一世紀的異常音楽の宮殿

編集人:阿部晴政

出版社:河出書房新社

2015年、キング・クリムゾンの12年振りの来日に伴い関連書式が多く出版された。 その中で発売時期が一番早かったのこちらである。
オーソドックス、かつ多方面からクリムゾンについてまとまっている。
クリムゾンについてのインタビューとしては、荒井英治(モルゴーア・クァルテット)、巽孝之(『プログレッシヴ・ロックの哲学』著者)、ジム・オルーク(ミュージシャン)を収録、その他ディスコグラフィー、人名辞典、ヒストリー、評論が収録されている。
(追加:2022年11月10日)

 

SHINKO MUSIC MOOK  THE DIG Special Edition  キング・クリムゾン

編集人:笹川孝司

出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント

雑誌 『 THE DIG 』 のスペシャル・エディションとして出版されたもの。
来日直前ということもあり 『 The Elements Of King Crimson 2015 Tour Box 』 の解説や、同年にリリースされた 『 THRAK 』 のボックスの解説、そしてアルバム・ガイドと、気を逃さない特集+オーソドックス特集という編成になっている。
そしてそれらに加えシンコーミュージックが所有する過去の豊富なコンテンツが含まれていることが、本書の最大の特徴である。 来日時の美麗写真、過去インタビューに加え、『 MUSIC LIFE 』 誌での4ヶ月分の 『 Discipline 』 の広告の再掲など見てるだけでもワクワクしていくる。
(追加:2022年11月10日)

 

2016

レコード・コレクターズ増刊  キング・クリムゾン

編集人:浅野純

出版社:ミュージック・マガジン

『レコード・コレクターズ』誌におけるキング・クリムゾン特集、記事を一冊にまとめたもの。
間違いでなければ初出時のまま掲載する、という方針に基づき1989年から2015年までの四半世紀も及ぶ記事が圧巻である。 作品解説が重複するところもあるが、逆に時代によって評価、考え方の違いがあることを確認できるのが面白い。
また来日のタイミングで行われたロバート・フリップ、マイケル・ジャイルズのインタビューも再掲されており、まとめて読むことによってあらたな面白さを発見することができる。
(追加:2022年11月10日)

 

2017

SHINKO MUSIC MOOK  THE DIG Special Edition  キング・クリムゾン  ライヴ・イヤーズ 1969-1984

編集人:笹川孝司

出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント

キング・クリムゾンのライヴ音源を、DGM Live からのダウン・ロード販売作品まで含めて紹介している本。
1974年までの作品は刊行時にリリースされていたほぼ全作品を、それ以降1984年までの作品は間引きながら、そしてそれ以降の作品は対象外としており、需要を的確に捉えた編集となっている。 全ライヴを公式レコーディングしていた1995年以降をフォローしようとすると無尽蔵にヴォリュームが増えるという現実的問題もあるが。
1ページ単位で、日にち毎のリリース形態、収録曲、メンバーといったデータとともに解説が記載されており、クリムゾンのライヴ作品を追う上で非常に参考となる内容である。 ただ時代毎に解説者が異なっているためバラツキ感がある。 特定の方が全時代をカヴァーするのは困難だと思うが、いっそのこと時代毎に分けるのではなくランダムに解説者を分けた方が面白かったかもしれない。
その他、ジャッコ、デヴィッド・シングルトン、アレックス・マンディのインタビューも収録されている。
(追加:2022年11月10日)

 

2018

KING CRIMSON'S MUSIC, HISTORY & CONNECTION  キング・クリムゾンと変革の時代  A Guide Book for Progressive Rock

編:ストレンジ・デイズ

出版社:角川書店

改めてストレンジ・デイズが編集にあたったクリムゾン本。 キング・クリムゾンの来日公演に合わせて出版された。
クリムゾンの時代別、メンバー毎のソロ・関連作品とオーソドックスな編集となっており、クリムゾンに関する文章は1つでも多く読みたいという欲求を満たしてくれる。 ただ後半、プログレ関係のレーベル特集や同時代のプログレ作品の紹介に70ページも割かれており、好みが分かれるところだと思う。 月刊誌時代の 『 ストレンジ・デイズ 』誌で特集された手法であり、個人的にはクリムゾンに特化してもらいたかった。
あとがきには、巻末の辞典部分以外は新たな書下ろし原稿であることが明記されており、後述する『 キング・クリムゾン・ディレクトリー 』 の出版との因縁が示唆されている。
(追加:2022年11月10日)

 

キング・クリムゾン・ディレクトリー

監修:松井巧

出版社:スペースシャワーネットワーク

本書は、巻末にも記載されている通り2004年にストレンジ・デイズから出版された 『 キング・クリムゾン 』 と雑誌 『 ストレンジ・デイズ 』 の記事をベースに加筆、編集を施し、更にディスコグラフィーを更新した内容となっている。
出版社が変わり新たな監修者がクレジットされているのには、色々な権利関係の話があるのかもしれないが、内容としては 『 キング・クリムゾン 』 の改訂版として機能している。
(追加:2022年11月10日)

 

2022

ピンク・フロイド VS キング・クリムゾン  プログレ究極対決  ロックの未来を変えた2大バンドの両極

著者:大鷹俊一 + 高見展 + 茂木信介

出版社:DU BOOKS

プログレッシヴ・ロックの、というかロックの論評に真正面から対峙した作品。
インタビューは無い、メンバー紹介や関連作品紹介は無い、バンド自体の主要作品の紹介こそあれ体系的なディスコグラフィーも無い。 あるのはキング・クリムゾンとピンク・フロイドに対しての論評のみなのだが、その内容は深く色々と考えながら読まされる作品である。
海外ミュージシャンの情報が少なかった時代の論評には「思い込みから来る過度な幻想」が前面に出てしまうものがあった一方、ミュージシャン自身が発信する情報まで溢れるインターネット普及後の今の時代の論評には「情報の多寡が論評の評価ポイント」と誤解したようなものがあったりする。 この書は、元々思い込みだけを拠所にすることがなかった著者が、情報の羅列に走ることなく真正面からキング・クリムゾンとピンク・フロイドに向き合っているところが凄い。
正に時代を超越した書だと思うのだが、その対象がキング・クリムゾンとピンク・フロイドだからこそなのだと思う。
(追加:2022年11月10日)